東工大建築学専攻塚本研の活動をレポートしていきます。

2012年9月24日月曜日

牡鹿半島サマーキャンプ2012

こんにちは。塚本研修士2年の高橋浩人です。
去る 2012年8月24日-26日にかけて行われました、「アーキエイド・サマーキャンプ2012」について報告します。
塚本研究室では昨年の7月に開かれた牡鹿半島サマーキャンプから、定期的に浜を訪れ、牡鹿半島の復興へのサポートを続けています。昨年度から検討を続けている高台移転計画に加えて、現在では漁港や農地の復旧や新県道計画がそれぞれ別の枠組みで提案され始めています。
今年のサマーキャンプの目的は、それらのばらばらな情報を統合し、より具体的な生活像に基づいて将来の浜の姿を思い描く道筋を、鮫浦、大谷川浜、谷川浜、祝浜の住民の方々と共に考え、行政に提案することです。(今回のキャンプの背景についてはアーキエイドのHP http://archiaid.org/news/3522に詳細が載っています)
塚本研からは、昨年のサマーキャンプに参加した修士2年、今年の春に行われた春合宿に参加した修士1年に、学部4年生を加えた、計9名で今回のサマーキャンプに参加しました。
以下、3日間の活動内容を紹介したいと思います。



 1日目。大原小学校にて住民や牡鹿半島の復興に関わっている方々を交えて全体オリエンテーション。研究室で取り組んでいるコアハウスプロジェクトを紹介しました。

その後、震災から一年半経った大谷川浜を歩き、防潮堤や新設県道等、新しく計画される復興事業について確認します。


防潮堤の建設予定地。元の防潮堤の位置に積まれた土嚢の上から浜を眺めます。

現地踏査後、大谷川浜の住民の方々に集まっていただき、研究室で検討を続けてきたマスタープランイメージをたたき台に意見を伺いました。


2日目。鮫浦、谷川浜の現地踏査と意見交換会を行います。 写真は谷川浜。
 
谷川浜の低平地には既に建物が建っており、仕事を再開している方もいます。製材所を始めている方にインタビューをしました。

低平地に建てられている仮設の番屋を実測調査しました。


谷川浜の住民に、防潮堤や嵩上げ用地の要望など主に低平地の計画について意見を伺いました。

調査後キャンプ場に戻り、現地踏査、住民の意見を反映させてマスタープランイメージを練り直します。




半島南側の表浜では観光に対する住民の期待が高いのに対し、北側の裏浜では漁業、農業に専念したいという意見が多いようです。
今回研究室では、公共施設も商業施設もない純粋漁村を目指して、道路や排水路、漁業施設についての新たな提案をしていきます。


3日目。行政や土木コンサルタント、半島の住民、キャンプ参加者が集まる大原小学校の体育館にて各浜のマスタープランを発表しました。

その後の質疑では、浜の住民の方や、行政、専門家の方からご意見を頂きました。

一年前、ガレキが散乱し、土砂が堆積していた津波の跡には植物が生い茂り、仮設の建物が建ち始めていました。

発表会でも住民の方々から要望が出たように、復興事業が具体化していく中で、克服すべき課題は多く、住民の合意を得ながら進めていくのは簡単なことではありません。復興へのスピード感が求められる今、私たちが継続して地域や行政と関わることで、住民の生活やまちの風景に対して少しでも貢献出来る提言をしていきたいと考えています。

以上、牡鹿半島サマーキャンプ2012の活動をご報告致しました。

2012年6月19日火曜日

ワカメ漁体験記

こんにちは。塚本研究室修士1年の戸井田と信川です。
今年3月に行われたアーキエイド主催の復興支援合宿の活動のもとで現地に訪れた際に、漁師さんの御好意により、小渕浜でワカメ漁の体験をさせていただく機会を頂きました。塚本研究室からは戸井田, 信川, 横田の三名が参加しました。
今回はその様子をレポートさせて頂きます。
(キャンプの詳細についてはアーキエイドのHP http://archiaid.org/ をご参考ください。)

一日の大まかな流れは次のようになります。
4:30  | 起床
5:00  | 港到着、出港準備
5:30  | 出港(一回目)
6:30  | 帰港
6:45  | めかぶ耳削り作業開始
7:00  | 出港(二回目)
8:00  | 帰港
8:30  | 朝食
10:00  | ボイル作業開始、不要部分離作業開始
11:00  | 塩蔵作業開始
12:00  | 昼食
14:30  | 耳削ぎ終了、めかぶ出荷
15:00  | 塩蔵作業終了
17:30  | 作業終了
各作業を順に説明していきます。

-刈取り作業(5:30~6:30)(7:00~8:00) 
ワカメ刈取りには漁船を使用し、作業はアルバイト含めた5名で行いました。
船長さんを中心に大声で指事が飛び交う真剣な場は、とても私たちが入って体験させてもらうようなものではなく、ただただ圧倒されるばかりでした。

早朝5:00の日の出前の漁港

 5:30 養殖場へ出港 3月であったが、かなり風が冷たい

沖からみた半島はとても美しい

 出港から10分程度で養殖場へ到着 浮きがきれいに並んでいる

 到着と同時に作業に移る まず海に沈んだ縄を引き上げていく

 鎌のような刃物で手分けしてワカメを根元から切っていく

 次々にワカメが引き上げられていく

6:15 船がワカメで一杯になったところで作業は終了 

 漁を終え帰港

6:30 フォークリフト で穫ったワカメを引き上げていく
-耳削ぎ作業(6:45~14:30)
ワカメの茎の部分が港の空きスペースに広げられ、茎とめかぶを分ける作業が行われる。めかぶは14:00までに生のまま出荷するため、それまでにできるだけたくさん耳削ぎをする必要がある。私たちが行ったのは主にこの作業で、普段は女性や子供が手伝うことが多いという。出荷量がピークを迎える時期は作業が間に合わないため、近所の小学生が集って、皆で作業を手伝うそうです。

 まずは根と茎を選別する作業から始める。

道具はこのようなものを使う

めかぶの耳取り作業は、人の手によって行われ、大変な重労働でした

道具の先にめかぶを引っかけ・・・

 削ぐように茎とめかぶを分ける

めかぶはそのまま出荷される

 皆で休憩 休憩は約2時間おき程度にとられる。

-ボイル冷却作業及び塩蔵処理(10:00~14:30)
ボイル作業では、ボイル釜へワカメ投入し、撹拌した後、冷却槽に排出される。冷却し水洗いされたワカメはその場で篭からネット袋に移され、少し離れた作業場にフォークリフトで運ばれる。
 
自家加工施設

 左の湯気がたっている方がボイル機で右が冷却器

熱処理されたワカメはネットに入れられ、近くの作業場に運ばれる 

作業場 

 ネットに入れられたワカメはそのまま高濃度の海水で撹拌されて塩蔵処理される

塩蔵処理されたワカメは一晩程度塩漬けにされる

-ワカメの不要部分離作業(10:00~14:30) 
運ばれてきたワカメは作業所で不要部分の分離作業が行われる。

ワカメの葉体、中芯、先枯れ部に分離される。

- 昼食 (12:00〜13:00)
昼食は皆でとる。この日は船長の奥さんが作ったカツ丼とみそ汁皆にふるまわれた。

昼食の様子

その日のうちに加工しきれなかったワカメは一晩海水につけられ、翌日加工される

16:00 この日の作業はここで終了

以上、ワカメ漁の報告でした。
漁師の皆様、色々拝見させていただき、どうもありがとうございました。

2012年4月2日月曜日

牡鹿 意見交換会および現地踏査

こんにちは、修士1年の袁です。
7月後半に行われたアーキエイド主催の復興支援キャンプの活動の継続として、昨年10月18日から2日間、再度現地に訪れましたので、そのご報告をさせていただきます。(キャンプの詳細についてはアーキエイドのHP http://archiaid.org/ 、および9/10のレポートをご参考ください。)

7月のキャンプ以降もアーキエイドをはじめ、サマーキャンプに参加した建築家と学生が精力的に牡鹿半島の復興に向けた活動を続けてきました。8月には、15大学それぞれが作り上げた浜ごとの調査資料をアーキエイドが取りまとめ、石巻市に提供しました。また、8月6日から3ヶ月間、横浜の新・港村にてサマーキャンプの展示および数多くのトークイベントなどが催され、多く方からの関心を得ることもできました。
今回の目的として、僕たちは7月に塚本研究室がサマーキャンプで担当した浜の住民と行政、土木コンサルタントの方を含めた話し合いの場に参加して、具体的な移転候補地の検討を中心とした意見交換会と候補地の踏査を行うことです。1日目に僕たちが以前提案した高所移転候補地をたたき台に、住民・行政・土木コンサルタント・アーキエイドと共に地図などをもとに再確認しました。2日目に現地踏査を通して、海抜・土地所有権・海への眺めと距離・具体的な配置計画の可能性など、さまざまな観点から意見を交わしながら、現段階での候補地を決めることができました。
以下写真を交えながら、二日間の活動について紹介させて頂きます。

1日目、牡鹿半島の旧大原中学校で行われた意見交換会。

浜ごとに分かれての移転候補地に関する意見聴取。


以前に塚本研が作成した計画案をたたき台に、移転候補地についての議論。
 
意見交換会の後、鮎川浜のボランティアセンターにて、行政およびアーキエイドの方と打合せ、意見交換会のまとめと今後の方針についての議論を行った。

 2日目、現地踏査。(鮫浦)

土地の所有区分を明記した「図郭毎集成図」を用いての移転候補地に関する話し合い。

ヤマヒル対策のため、脚をビニールとガムテープで防護。

 高台移転候補地の地形を理解するため、山林の中を歩き回る。

移転候補地となった海抜30mの休耕田。

現地踏査をしながら、みんなで気づいた情報や新たな提案をどんどん手元の地図に書き加えていく。

住民と行政の方が移転のビジョンについて細かく話し合う場面も。

3ヶ月前、浜全体に散らばっていた瓦礫もようやく片付いてきた。

帰り道、表浜に回り込むと、夕日に染められた浜の風景を目の当たりにして思わず車を止めた。この美しい場所に一日でも早く人々が戻り、生活を始められることを心より願い、その実現を陰ながら支えていきたい。