東工大建築学専攻塚本研の活動をレポートしていきます。

2014年5月14日水曜日

これからの「ケア」の話をしよう

こんにちは、修士1年の太田、安福です。
2014428日に埼玉県の吉川団地にある団地内の空き店舗を利用した地域ケアよしかわでの『これからの「ケア」の話をしよう』というトークセッションについてご報告します。

地域ケアよしかわは、社会法人福祉楽団の訪問介護の事業所としてこの4月に開かれました。
福祉楽団の理事であり、恋する豚研究所の代表を務められている飯田大輔さんが、恋する豚研究所(2012年竣工)の建物の設計をアトリエ・ワンに依頼し、今回地域ケアよしかわで、塚本研究室のOGであり、現在日本工業大学で助教をされている建築家の金野千恵さんに改修を依頼されました。
そのようなつながりからこの会が開かれました。


当日は、地域の方々を初め多くの参加者で賑わい、外にまで椅子を並べるほどでした。
初めに、飯田大輔さんのスライドレクチャーがあり、恋する豚研究所のコンセプトや取り組みなどを交えながら、これからの「ケア」のあり方についてお話して頂きました。

恋する豚研究所では、福祉と地元の産業をクリエイターのデザインによってつなげることで、福祉をできるだけ市場に近づけ、コミュニティの中の経済活動を活性化する新たなケアの在り方を実践されています。
ケアとは地域に根ざしたものであるため、ケアの質を高めることは地域の質を高めることにつながります。
これまで、ケアする側とされる側の1対1に陥りがちであったケアの対象を地域の環境づくりにまで広げることが、これからの「ケア」であると考えられています。



その後、塚本先生のスライドレクチャーがありました。
福祉楽団が運営するデイケアセンターの多古新町ハウスだけでなく、金沢のまちやゲストハウス、被災地でのコアハウスの取り組みなど、地域に内在している関係性を再生するプロジェクトについてレクチャーを頂きました。建築の分野でも自立した個人のためにつくるというより、人々が共存し生きるということを前提とした場所をつくる方向へと移行しており、建築設計で積み重ねられる様々な配慮は、ケアの考え方につながると考えられています。

今後、建築においては、一対一のケアではなく、地域のクオリティを高めることによる環境そのものに対するケアが求められるというお話でした。



スライドレクチャー後、恋する豚研究所の豚しゃぶしゃぶを頂きながら、賑やかに討論会が開かれました。
討論会では、地域の方や職員の方、学生など、それぞれの立場からケアについて、またこの場所について多くの意見があがりとても盛り上がりました。
福祉でも建築でもこれからのケアは、人と人の1対1の関係で完結するものではなく地域や空間という広がりをもって展開されていくことが重要であると思いました。

以上、『これからの「ケア」の話をしよう』の報告でした。